■「きらきら星脳活計」について
「きらきら星脳活計」は、脳の加齢による衰えや脳機能障害など、脳の総合的な状態を測定することができます。様々な用途(※)が期待できますが、本件では軽度認知障害をスクリーニングする性能を向上させた「きらきら星脳活計」をご紹介いたします。(測定原理をまとめた資料は、下記の論文資料をご覧下さい)
「きらきら星脳活計」は、動画に流れる例示動作を真似する手の動きを詳細に計測し分析することで、脳の運動調節機能の働き度合いを評価します。センサーの上に手をかざし、画面の動きに合わせて手のひらを回す運動を15回(15秒間)行うだけですので、装置は非装着かつ非侵襲で、早く、簡単に、安全な方法で測定ができます。
「きらきら星脳活計」は、宇都宮大学工学研究科の青木恭太元准教授と共同開発した装置です。臨床データは県内の医療系大学やクリニックとの共同研究において収集·分析を行い、現在も共同研究を進めております。また、研究開発は栃木県や宇都宮市の補助金も受けて進めてきました。第65回栃木県発明展覧会において、そのユニークさから日本弁理士会会長奨励賞を受賞しております。また、宇都宮大学と共同で特許を取得しております(下記)。
「きらきら星脳活計」URL:https://www.softcdc.co.jp/products/noukatsu
(参考)測定原理 IPSJ Transactions on Bioinformatics Vol.14 22–29 (May 2021)
(※)これまでの研究により、MCIや認知症の測定以外にも、小中学生の脳の発達度合いや高齢者の加齢による変化、脳梗塞による影響(脳梗塞の事前スクリーニングとして)、寝不足やアルコールによる脳機能の低下など様々な理由による脳の状態変化を測定できることがわかっています。
■「軽度認知障害(MCI)のスクリーニング結果」について
図は、健常者群、MCI群、認知症群のきらきら星脳活計による測定結果を示しています。縦軸は、今回のスクリーニングに使った測定結果(特徴量P3r)です。きらきら星脳活計の測定では、健常者群とMCI群、または健常者群と認知症群をはっきりと分けることができました。(Welchのt検定(*p<0.05): p = 0.000378(健常者群とMCI群)、p=8.365×10-13(健常者群と認知症群))
きらきら星脳活計はこの図の結果を使って、被験者に測定結果を三段階評価((A)健常、(B)注意、(C)検査推奨)で伝えます。評価Bの方には健康管理のアドバイスを、評価Cの方にはかかりつけ医など医療機関への相談を促します。
結果は2023年3月9日北陸先端科学技術大学院大学において情報処理学会バイオ情報学研究会 (SIG BIO)で発表しました。
(情報処理学会研究報告(IPSJ Technical Report)巻: 2024 号: MPS-147 ページ: Vol.2024-MPS-147,No.26,1-6)
■「きらきら星脳活計」の背景と今後の事業展開
認知症の患者は増え続けています。その中でも最も多いアルツハイマー型認知症の新しい治療薬として「レカネマブ」が国内でも承認されました。この新薬は「アミロイドβ」が神経細胞を死滅させる前に、それを除去することにより症状の進行を遅らせます。このため、神経細胞が減る前、つまり認知症にうつる前の段階のMCIのときに投与する必要があります。この新薬はMCIの状態で患者を見つける必要があります。しかし、MCIの診断は専門医の診断やPET検査などが必要で、手間と費用がかかります。このため、早期に認知症の診断を受ける人が少ないという課題があります。また、この新薬の登場により早期診断への意識が高まり、MCI検査のための医療現場のひっぱくも考えられます。そこで、「きらきら星脳活計」を使いMCIや認知症の患者候補をスクリーニングすることによって、MCIの早期発見と検査による医療現場の負担軽減を図れるはずです。
今後の「きらきら星脳活計」の事業展開は、製品販売と並行してさらに研究開発を進めます。軽度認知障害をスクリーニングする機能をさらに高め、よりすぐれた製品化を進めていく計画です。
■特許・受賞など
・受賞
第67回栃木県発明展覧会 日本弁理士会会長奨励賞受賞(平成27年)
・商標登録
「きらきら星脳活計」(商標第6008786号)
・特許
協調運動評価装置(特許第6326701号)
協調運動評価方法及びプログラム(特許第6940067号)
運動障害に対する薬効評価(特許第6887632号)
脳機能障害評価システム(MCIに関する脳活計の使用方法)(特許第7448904号)
脳機能評価システム(指タッピングを使った評価方法) (特許7474980号)
■株式会社ソフトシーデーシーについて
1954年8月創業。株式会社中央税経研究所より計算センターとして営業を開始し、コンピュータシステム・インテグレーション及びシステムの販売やソフトウェア設計、開発及びコンサルタントとして、地域に根ざした事業を展開しています。地域のヘルスケアへのニーズに応えるため、10年ほど前から「きらきら星脳活計」の研究、開発、販売を始めました。
会社概要
会社名:株式会社ソフトシーデーシー
所在地:栃木県宇都宮市西2丁目2番35号
事業内容:ソフトウェア設計、開発、開発支援
IoT技術、機械警備、監視カメラ等システム開発
ロボット(クローラー型無人走行車等)開発
自社商品(脳活動量計)販売
設立:1954年8月16日
資本金:2,001万円
本社:〒320-0861 栃木県宇都宮市西2丁目2番35号
企業URL:https://www.softcdc.co.jp
■本件に関するお問い合わせ先
株式会社ソフトシーデーシー
担当:木村翔太郎
TEL: 028-633-5411
FAX: 028-633-5412
お問い合わせフォーム:https://www.softcdc.co.jp/contact
■執筆担当
株式会社ソフトシーデーシー
研究開発室 室長 吉岡努